グリーンツーリズムとエコツアーの魅力:鳴子の森で体験する旅の力
自然と人の営みをつなぐ旅のデザイン
ある旅行ガイドの物語が心に響きます。
ご紹介するのは、鳴子温泉郷を拠点にしてグリーンツーリズムやエコツアーを提供する齋藤理さんの取り組みです。
彼の肩には、エンジニアの家に生まれ育ったバックグラウンドがありながら、心のどこかにあった「森の魅力」を求める情熱。
彼にとって、旅とはただの移動ではなく、自然の素晴らしさや人とのつながりを深めるための大切な経験です。
心に残る震災の経験と自然の力
齋藤さんは、高専時代に東日本大震災を経験し、その影響で人生の選択肢が変わりました。
その夜の停電と火災、暗闇の中で見えた赤い空は、彼の心に深く刻まれています。
自然は時には牙を剥く一方で、癒しや喜び、生きる力も与えてくれる存在です。
この二面性を理解した彼は、自然を大切にすることこそが自分の進む道だと気づくのです。
こういった背景が、グリーンツーリズムやエコツアーという旅作りに対する情熱を生み出しています。
鳴子峡の魅力的な自然と地域とのつながり
27歳の時、齋藤さんは鳴子温泉郷に移住。
彼は地域おこしネットワーク「もりたびの会」に参加し、地元の宿の主人や職人、林業者たちとともに持続可能な旅づくりを推進しています。
鳴子峡には壮大な自然が広がっており、絶景を見ながらのトレッキングや、地域資材を使った木質バイオマスの視察ツアーが行われています。
このような活動を通じて、訪れる人々に森の奥深さや魅力を感じてもらうことを目指しているのです。
体験を通じた学びの場としての旅
旅の中では、温泉の湧き出る小川を訪れたり、地域の自然保護に関する学びを深めたりする活動も盛りだくさん。
特に雪の季節には、子供たちと一緒に楓の樹液からメープルシロップを作るなど、楽しさと学びを両立した体験が行われます。
こうした活動を通じて、参加者はただの観光客から、自分たちの暮らしや環境について考える仲間へと育っていくのです。
新しい挑戦と旅のスパイス
昨年、齋藤さんは自らのツアー企画・ガイド会社「Some Spice」を立ち上げました。
旅は人生を彩るスパイスであり、自然や人の営みが主役であるという彼の信念が込められています。
新しい挑戦は始まったばかりですが、その情熱や思いが詰まったツアーは、参加する人にとってかけがえのない経験となることでしょう。
この旅でしか味わえない感動を、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。